カンボジア旅行記~その1~

「家族」

 初めまして。ずっとまとめようと思いながら、書いてなかった旅行記を少しずつ書こうと思います。「その3」まではなんとなく構想してます。

 今夜は、街角で出会った屋台の話。

 カンボジアは、児童労働が多かった。この少女は多分10歳くらいだったと思う。バイクに荷台をくっつけただけの簡素な屋台で、フルーツジュースを作って売っていた。シェイクを一つ注文して待っていると、隣の屋台の女性が少し険しい目で少女を見ていることに気が付いた。母親だろうか。

 年端いかない女の子を働かせているのだろうか。もしかしたら辛く当たっているのではないだろうか。そんな風に思っていると、その女性と目が合った。彼女は少し笑いながら、僕にバナナをくれた。その笑顔を、そんな優しさを、少しでも少女に与えてあげてほしい。そんなことを思った。そして、僕は彼女に尋ねてみた。

「Are you a family ?」

 その女性は、満面の笑顔でこう言った。「Yes !」本当に凄くいい笑顔だった。カンボジアの人はいつも笑っている印象がある。しかし、彼女のあの笑顔を超える笑顔を見ることは終ぞなかった。もう疑う余地などなかった。彼らは間違いなく家族だ。

 彼女は間違いなく娘を愛していた。あの笑顔は、とてもとても素敵だった。あの時僕は確かに、幸福の形を見た気がした。

 

今夜の話はここまでに。おやすみなさい。